2025 年 40 巻 1 号 p. 52-56
目的:無症状の子宮筋腫の年齢階級別および閉経別の大きさと個数を調査し検討すること.
対象と方法:当センターで2021年4月から2022年3月まで経腟超音波検査にて子宮筋腫を診断された1,415人の日本人女性を対象者とした.最大筋腫の最長径,筋腫の個数,閉経の有無および閉経の場合は閉経からの年数を求め,年齢階級別および閉経別の筋腫の大きさと個数を調べた.
結果:筋腫の大きさの中央値は年齢階級別では,39歳以下,40歳代前半,40歳代後半と増加して50歳代前半にピークとなりその後は減少した.2個以上の筋腫(多発性筋腫)の割合は50歳代後半にピークとなった.閉経の前後で4つの群に分けて検討すると(A群:閉経前で45歳未満,B群:閉経前で45歳以上,C群:閉経後で閉経から10年未満,D群:閉経後で閉経から10年以上),子宮筋腫の大きさの中央値および多発性筋腫の割合のどちらも,A群よりB群が,A群よりC群が有意に高かった.B群,C群,D群の各群間には有意差はなかった.
結論:無症状の子宮筋腫の最長径および多発性筋腫を持つ割合は,39歳以下,40歳代と増加し,50歳代の女性の値が最も高くピークとなったが,60歳以上も大きくは減少していなかった.子宮筋腫は年齢とともに閉経の前後まで増大増加し,閉経後すぐには縮小せずに,ゆっくりと小さくなってゆくと思われる.