年金研究
Online ISSN : 2189-969X
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特集:中年独身者(40~64歳)の老後生活設計
中年未婚者の生活実態と老後への備えに関する分析
―「単身世帯」と「親と同居する世帯」の比較―
藤森 克彦
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2021 年 15 巻 p. 52-76

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抄録

 本稿では、40代・50代の未婚の男女を、「単身世帯に属する者」と「親と同居する世帯(以下、親同居世帯)に属する者」に分けて、基本属性や生活実態、老後への備え、親との同居の規定要因を考察した。主な結果は、下記のとおりである。

 第一に、生活実態として本人年収を比べると、親同居世帯では、女性を中心に単身世帯よりも低所得者の比率が高い。そして低所得の親同居世帯では、親が生計維持の中心者となる傾向が強い。また、親同居世帯は、単身世帯よりも無職者の比率が高い。特に、親同居女性では、無職の理由として「親の介護」をあげる人が2割程度いる。

 第二に、老後への備えをみると、親同居世帯の6割弱は、国民年金第1号被保険者であり、単身世帯の5割程度と比べて高い水準にある。また、国民年金第1号被保険者の保険料の支払い状況をみると、単身男性と親同居男性において「未納中」が1割弱おり、高齢期の防貧機能が脆弱な可能性がある。さらに、高齢期の就労意向をみると、男女の間に差があり、「70歳以上まで」就労を希望する人の割合は、男性の4割強、女性の3割強である。また、社会的孤立に関連して「頼れる人がいない」と回答した人の割合をみると、親同居世帯では、現在は親が「頼れる人」となる傾向が強いが、老後になると「頼れる人がいない」という比率が著しく高まる。

 第三に、中年未婚者が親と同居することに正の影響をもたらす要因をみると、男女ともに、家族等に要介護者がいる(いた)こと、低所得層であることがあげられる。一方、年齢が高いことや、借家や本人の持ち家に住むことは、負の影響をもたらす要因となる。

 一方、男女で異なる規定要因の一つとして、男性では、低所得層のみならず中所得層であることも、親との同居に正の影響をもたらす要因になっている点である。この背景には、親同居男性は、親と同居する理由として「親族の義務」「同居者への金銭的援助」をあげる傾向が強い。一方、親同居女性は「自分の所得では生活が困難」をあげる傾向が強い。こうした男女の同居理由の差異が影響しているのではないかと推察される。

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© 藤森 克彦
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