年金研究
Online ISSN : 2189-969X
ISSN-L : 2189-969X
特集:中年独身者(40~64歳)の老後生活設計
老後の生活設計に対する阻害要因とその理由に関する分析
平河 茉璃絵
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 15 巻 p. 77-95

詳細
抄録

 1990年以降、50歳時の未婚割合は上昇の一途をたどっている。老後、家族による援助を受けられる期待が小さい未婚者にとって、資産形成をはじめとした老後生活設計について考えることは重要である。ただし、未婚者、特に中年期未婚者については老後の生活設計に関する研究は今のところ蓄積が少ない。そこで、本研究では「第5回独身者の老後生活設計ニーズに関する調査」を用いて、40歳~64歳の未婚男女を対象に、65歳以降の生活設計を考えることに対する阻害要因と、65歳以降の生活設計を考えない理由、について分析した。その結果、明らかになったことは以下のとおりである。65歳以降の生活設計を考えているか否かの分析では、低年齢、非正規雇用、自分以外の世帯員に生計維持を頼っている場合、65歳以降の生活設計を考えない傾向にあることがわかった。65歳以降の生活設計を考えない理由についての分析では、次の3点が明らかとなった。第1に、非正規雇用や同居人が生計維持者の場合、老後の生活設計を考えない傾向にある。第2に、労働時間が長い場合や同居で自分が生計維持者の場合、自身の老後の生活設計に対して考える時間を割けない傾向がある。第3に、現在の生活が比較的安定している場合、老後の生活設計を考える必要性に迫られていないため、65歳以降の生活設計に関心がないことを理由として65歳以降の生活設計を考えない傾向がある。今後は、行動経済学の枠組みを用いた資産形成の促進、低所得者向けに簡単に家計の見直しができる枠組み作りなど、65歳以降の生活設計を考えない理由に応じた対策が必要である。

著者関連情報
© : 平河 茉璃絵
前の記事 次の記事
feedback
Top