年金研究
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特集:論文
第6回サラリーマンの生活と生きがいに関する調査: 調査結果の概要及び男女別・年齢階層別比較
長野 誠治
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2017 年 7 巻 p. 128-153

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抄録

(1)仕事の満足度について

 仕事の内容、休暇の取りやすさ、家庭と仕事の両立などの満足度はおおむね高かった。賃金については若い年齢階層を中心に不満が強く、この影響もあって仕事全体の満足度はやや低めであった。女性の方が男性よりも仕事の満足度は全般的に高かった。

(2)自由時間について

 自由時間は全体では十分に確保されており、年齢階層が上がるにつれて、その程度も高まる。自由時間の使い方は、「インターネットやSNSなど」「ひとりで趣味・スポーツ・学習など」「家族との団らんや家庭サービス」の順であった。男女を問わず、自由時間をひとりまたは家族ですごすスタイルが主流であった。

(3)社会活動について

 地域活動やボランティアなどの社会活動に参加しているのは23%程度で、不参加の理由は「興味がない、関心がない」「時間がない」が多い。今後の参加意向については、「条件によっては参加してもよい」「参加するつもりはない」の回答がともに4割ずつであった。

(4)生活の満足度について

 健康については全般的に満足度が高く、年齢階層が上がるにつれて高まる傾向がみられる。経済的ゆとりは若年齢階層で「欠けている」が相対的に多く、全般的にもゆとりは乏しい状態である。精神的ゆとりは若年齢階層で「欠けている」、高年齢階層で「満たされている」と2極化の傾向がみられる。

(5)生きがいについて

 現在、生きがいを持っている人の割合は全体の44.5%と半数にも満たなかった。男女ともに年齢階層が高くなると生きがいを持っている人の割合が増える傾向にある。生きがいを感じる対象は「趣味」「家族・家庭」「ひとりで気ままにすごすこと」などで、「仕事」と回答した割合は全体の15.8%にすぎず、男性の35歳以上54歳以下の働き盛りでも25%程度にとどまった。

(6)退職後の生活について

 退職後の生活資金の原資は「本人の公的年金」「預貯金の取りくずし」「退職金」「就労による収入」「配偶者の公的年金」の順となっており、「本人の公的年金」は72.6%の回答者を占めた。現職退職後の仕事については、第1位が「できれば仕事を継続したい」41.6%で、第2位の「退職とともに職業生活から引退したい」23.0%を大きく上回った。仕事の継続意向のある人のうち「元気なうちはいつまでも」続けたいという回答は74.1%と、大多数を占めた。

(7)配偶者の退職について

 退職後の生活設計を夫婦で話し合っているかについては、全体では「まったくない」が過半数を占めた。ただし、55歳以上64歳以下では低下し、「たまにある」55.5%、「よくある」10.1%となっており、「まったくない」は34.5%にすぎない。配偶者に現職退職後も「フルタイムの就労」を望む専業主婦は33.3%、「パートタイムの就労」28.6%、「趣味やボランティアなどの生きがいを探す」25.7%と、配偶者には長く働き続けてほしいという希望が強い。

(8)住まいについて

 将来の住まいについては「自分または配偶者の持ち家に住む」が70.4%と大半を占めた。 「自立型住居(有料老人ホーム、有料介護施設など)に住む」は65歳以上74歳以下の女性で1番多かったが、それでも9.7%にとどまった。

(9)暮らし向きについて

 現在の自身の暮らしについては、「普通」44.0%、「少し苦しい」24.4%であった。男性の方が女性よりも「苦しい」と感じており、特に若年齢階層で「苦しい」と感じている度合いが強い。

(10)介護について

 「過去に介護の経験あり」「現在介護中」の合計は全体の23.2%で、女性の方がその割合は高い。介護負担の内容は、「精神的負担」「身体的負担」がいずれも60%以上を占めた。 自分自身の介護については、男性よりも女性の方が不安感は強い。配偶者の介護についても同様である。自分自身の介護を任せる先について、男性は「配偶者」が多い一方、女性は「介護施設に入る」が多かった。

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© 2017 長野誠治
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