年報政治学
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〔特集〕 代表と統合の政治変容
ドイツにおける統合と代表の論理
河崎 健
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2015 年 66 巻 2 号 p. 2_11-2_34

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抄録

過去の反省や戦後の冷戦体制の影響などから戦後西ドイツの政党制には左右の過激勢力の台頭を抑制すべく厳格な制度的枠組みが構築され, 国家の側からの代表制度の規制が正当化されていた。しかし60年代以降の左派陣営の分裂から新党が定着し, 3党制では十分な代表機能が果たせなくなった。他方, 多党制ながら左右陣営間の政権選択の選挙が定着していた西ドイツだが, 統一後, 左右の過激勢力が旧東独の地域利益 (左) や反ユーロ (右) というイッシューを前面に, 過激性を潜めることで既成政党に影響を及ぼすようになってきた。その結果, 左派陣営の諸勢力の分裂と相互の共闘の不備, 右派陣営の政党間による多数派確保の難局化により, 選挙を通した政権選択の可能性が不透明になってきたのである。現在のドイツでは連立の選択肢を拡げて首班政党としての多数派獲得をめざす二大政党間の競争と, 自党の生き残りと政権入りをめざす小政党間の競争が特徴的になっている。

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© 2015 日本政治学会
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