千葉県手賀沼の富栄養化水のみを肥料源としたエンサイの水耕栽培において,水中の懸濁物質(SS)に着目し,エンサイの生育に及ぼす影響から,栽培に適した水路長および導入水の流速を検討した.その結果,水路に沈積したSSによりエンサイの生育は促進され,エンサイは水溶性の肥料成分のみならず,SSからも養分を吸収していることが明らかとなった.SSの沈殿特性は,湖沼水中のSS含有量や,導入水の流速により異なった.水路の上流から下流にかけて生育が均一で高い収量を得ることができ,且つ排水の水質がより改善された条件として,野菜生産と水質浄化の両面から,本実験の条件下では,水路長は20 mまでが好ましく,流す水量は10-20 L/minが最適であると考えられた.