抄録
エポキシ樹脂は, 電気・電子分野を中心として広く用いられているが, 最近の技術の進歩による高性能化などの要求から, 樹脂の性能に対する要求も大きなものとなってきている。このため, なかでも熱応力に起因するき裂の発生が問題となってきているが, これを扱う試験方法は少なく, 応力状態が複雑で実機との比較などが難しいものばかりである。
そこで, エポキシ樹脂の熱応力に対する耐き裂性を評価するための簡単でしかも応力解析が可能な試験方法の確立を目的として, 円盤および切欠き付き円盤試験片を用いた熱衝撃試験について検討した。
円盤試験片を用いた場合には, かなり大きな温度差を必要とし, また破壊の形態も複雑であり, 試験法としては問題があった。しかし, 切欠き付き円盤試験片を用いた場合には, 樹脂の使用される温度範囲内で破壊の生じる限界の温度差が再現性良く観察された。
冷却時間をいろいろに変化させたところ, 冷却時間が長いほど温度差は減少するが, ある時間を越えると限界温度差は変化しなくなる。これより, 一般的な試験方法としてはこの温度差が変化しなくなる時間を冷却時間として選ぶのが良いことが明らかとなった。また, 冷媒浴の温度についても4種類について実験を行ってみたが, 限界温度差はどれも同じ傾向を示し, 本試験方法の有用性が確かめられた。