近年の画像解析の進歩により,復唱・聴覚理解に従来の弓状束を経由し,音韻→構音変換を担当する背側路以外に,上側頭回から鉤状束を経由して音韻・意味処理を担当する腹側路が注目されている.読み・読解には別の2重回路が提唱されており,筆者らは視覚野から上側頭回後部に達し,書記素・音韻変換を行う背側路と視覚野から後下側頭皮質に達し,語形認知を行う腹側路を提唱した.また書き取りの2重回路として,聴覚野から出発し,弓状束を経由して前頭葉に向かい,文字列の音韻処理を行う音韻経路と後下側頭皮質から出発して,頭頂葉を経由して前頭葉の手の領域に入る形態路を想定した.これらの2重回路説は,神経画像解析技術の進歩とともに,その妥当性が検討されるべきであろう.