日本印刷学会論文集
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平版印刷版面のぬれ光沢に対する基礎的扱いについて
田中 恒雄国司 龍郎分島 拓
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1986 年 23 巻 3 号 p. 161-169

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抄録
平版印刷版面の非画像部における保水量を, 定量的に評価するための基礎として, 版面のぬれ光沢の問題を取り上げ, 研究を行った. 通常用いられる平版用PS版材と同じ純度をもつ厚さ0.015cmのアルミニウム板を, 320メッシュのシリカ粉末でボール研磨したのち, さらに陽極酸化処理により, その表面を黒化した. このようなマット状の粗面 (平均粗さ1.1μm, 最大粗さ4.9μm) をもつ黒色アルミニウム板の上に, 平均膜厚約1-3μmの範囲でヒマシ油を皮覆し, その面への入射光 (入射角45°, 60°, 70°) に対する反射光分布 (0-80°) を, 変角光度計で観測した. 上記のマット状アルミニウムの, 粗さ計による断面形状から得られた粗面の凹凸と, その凹凸をぬらす油膜からの光の反射に関し, 簡略化した2, 3のモデルを基に, 幾何光学近似による理論を導出し, 実測結果との比較を行った. その結果半定量的ではあるが, 両者の間には比較的良い一致がみられた. 以上の結果は塗装や印刷の工学に重要な, 光沢に関連した幾つかの問題の解決に道を開くものと考えられる.
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