日本橋学館大学紀要
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ジグソーパズルを使った二つの集団内対人葛藤のグループワーク
佐々木 由利子
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2011 年 10 巻 p. 61-68

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抄録

集団内の対人葛藤を体験し、その中での自分の行動傾向や乗り越えるためには何が必要かを学ぶオリジナルなグループワークが筆者により開発された。最初の道具(ジグソーパズル)がこの目的のために2008 年に開発され、日本橋学館大学の対人関係論とカウンセリング心理学のクラスで試行された。パズルは両面折り紙で作られ、グループの各々の学生にはパズル完成のための2 組の対となる情報が与えられ、互いに色彩と形について相反する要素を持つ内容となっていた。従って学生が自分の情報に固執するとパズルの完成が難しい。学生が活動中に体験した譲り度をセッション後の振り返り用紙に記入してもらった。対人関係論のクラスでは対情報を与えられたペアの半数が対照的な結果を示していた。またセッション後の両クラスにおける学生のグループワークについての振り返り用紙の記述には彼らの体験した葛藤とワークから学んだことが書かれていた。2009 年にはさらに新たなジグソーパズルが作られ、再び対人関係論のクラスで試行された。このパズルは完成図形はよく知られたものだが、グループワークの葛藤度は与える情報や正解の色の組合せの選択により変えられるようになっている。この回の葛藤度はマイルドなものであったので、学生の報告した譲り度には明らかな傾向は見られなかった。しかし学生の体験に関する記述は彼らの体験した葛藤の性質と学んだことを示すものであった。

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© 2011 学校法人日本橋女学館 日本橋学館大学
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