2004 年 3 巻 p. 37-51
1989年,関本・花田によって企業における帰属意識(組織コミットメント)の大掛かりな調査が行われた。本稿の目的は,1989年と2003年の組織コミットメントの変化を調査することであった。本稿の目的は,1989年と2003年の組織コミツトメントの変化を調査することであった。今回の因子分析とクラスター分析の結果は1989年の調査とほぼ同様であり,4種類のコミットメント因子が抽出された。それぞれの特徴から,各因子は(1)残留,(2)積極的意欲,(3)目標・価値・規範,(4)功利的なコミットメントと名づけられるようなものであった。本調査の結果を見ると,最近の人事制度改革や不安定な雇用情勢などの影響を強く反映したものになっていることがうかがえる。2003年には,(1)特に滅私案公的な「伝統型」や「企業依存型」タイプの組織コミットメントは大幅に減っている。(2)功利的コミットメントはほとんどの年齢層で増えているが,特にミドル層で顕著である。(3)「自己主体型」のタイプがミドル層において増えている一方,全ての帰属意識が薄い「希薄型」も同時に増加している。