日本文学
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説話の虚構と虚構の説話 : 藤原高藤説話をめぐって(文学における虚構とは何か,文学の部,<特集>日本文学協会第40回大会報告)
池上 洵一
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1986 年 35 巻 2 号 p. 64-72

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抄録

既成の話型を用いて成立している説話は、事実をそのまま語っているわけではないが、決して自由な虚構ではないから、虚構の文学としては限界がある。しかしまた、説話は独特の人間追求の方法を備えている。説話形成者の認識はまず語型の選択を通して示され、伝承者の認識は個々の表現として顕在化されて、両者の相乗効果によって人間の追求が深められる。『世継物語』の藤原高藤説話はその典型的な例である。

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© 1986 日本文学協会
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