日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
「坊つちやん」を読む
米田 利昭
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 35 巻 6 号 p. 33-45

詳細
抄録

一 坊っちゃんのアイデンティティ、いいかえると自己のかけがえのなさの感覚は、小説中の事件(マドンナの争奪)に対する坊っちゃんの態度決定にあらわれる。二 生徒を<豚>視する一方、<教育>を理想視する坊っちゃんとは、人間を社会から切り離し、個としてその行動と意識だけを書くという漱石の方法によるものだ。三 小説中、清からマドンナへ重心が移動する。作者に残された課題は、現実の女マドンナに口をきかせることだった。

著者関連情報
© 1986 日本文学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top