相模女子大学短期大学部
1987 年 36 巻 6 号 p. 26-36
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「蓼喰ふ虫」が谷崎文学の転機をなす作品であることは定説となっている。小論ではその転機をなしたものとして、それまで谷崎がとらわれてきた「永遠女性」の消失を据えた。この至上価値が失われた時、谷崎は閉ざされた価値体系から開放され、改めて自ら「永遠女性」の語り手になる自覚を持った。そこに谷崎の古典回帰の時代が生じて来る。「蓼喰ふ虫」に描かれた三人の女性の「うそ」と「ほんたう」を比較しながら、この時期の谷崎の変化について考える。
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