山形大学
1990 年 39 巻 11 号 p. 21-30
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有島武郎の童話「一房の葡萄」は、従来主人公を成長に導いた先生の「愛の力」に重点を置いた読み方が通説となってきた。しかしテクストの語りの構造に即して見直せば、この物語の真の主役は学校空間そのものなのである。有島が示唆していた<他者>としてのこどもの措定、それは近代の天皇制が巧みに利用した学校教育という制度自体を根底から相対化する作業である。天皇制の柔構造もそこに新たな解明の端緒を見出しうるであろう。
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