日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
偶像の競合 : 「妖剣紀聞」論
種田 和加子
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1998 年 47 巻 3 号 p. 46-55

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抄録

E・W サイードの「オリエンタリズム」は言説が言説として成り立つときの政治性をオリエンタリズム、そのあいまいなイマジネールの中からひきだしてみせた。日本の歴史をかえりみれば、オリエンタリズムに相当するのは「マレビト」であったかにみえた被差別の人々である。近世の共同体の文化の中で存在した人間関係のありかたが「マレビト」と呼ばれるような人々を容認し、関係も文化も近代になると変質して、彼らのエグゾティスムだけが突出した。泉鏡花の「妖剣紀聞」は人と人ならざるものの互換性が風化しきった近代においてきわめて暴力的なかたちで「交換の場」をつくりあげたテクストである。

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© 1998 日本文学協会
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