熊本県立大学
2003 年 52 巻 10 号 p. 18-28
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おもに幕末から明治・大正期にかけて行なわれた「兼好南朝忠臣説」の端緒は、土肥経平著『春湊浪話』(安永四年跋)所載の考説にある。この考説は一見突飛なもののように思われるが、つぶさに文学史を辿ってゆくと、それは江戸前期に流布していた南朝関係説話集や『園太暦』偽文で描かれる兼好伝、あるいは『太平記秘伝理尽鈔』や徒然草注釈書などで展開された諸家の兼好批評を基盤とし、かつ南朝正統論という歴史観の台頭の中で構築されたものであった事が分かる。
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