日本文学
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三島文学の秘鑰 : 旧蔵書の調査が開扉するもの(<特集>加工行為としての<文学>)
島内 景二
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2006 年 55 巻 1 号 p. 41-50

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抄録

『絹と明察』は、三島由紀夫の「小説の作り方」を解明する手がかりとなる。というのは、笛吹川芸術文庫に、三島が『絹と明察』を書くに当たって参照した種本が所蔵されているからである。種本と小説を比較すれば、三島が資料に依拠した部分と、そうではない三島文学の本質部分とが区別される。後者は少年時代の読書体験によって完成し、晩年まで一貫して影響を及ぼしている。三島だけでなく、文学者の旧蔵書の調査は、文学研究に新しい地平を切り開くものであろう。

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© 2006 日本文学協会
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