日本文学
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学ぶことと読むことの間(<特集>いま、<文学>をどう学ぶか? 日本文学協会第60回大会報告)
千田 洋幸
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2006 年 55 巻 3 号 p. 20-30

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抄録

<文学>教育によって獲得される認識の枠組は、テクストの読解を学校的価値観に依拠させ、学習者の歴史的・社会的関心の発現を阻害する方向にしか機能し得ていない。即ち、現状における<文学>教育は、学習者のリテラシー低下に荷担していると言わざるを得ないのである。制度としての国語教育とは「規律・訓練」の場である、というしごく当然の前提に立つなら、<文学>を"学ぶ"ことと"読む"こととを差別化し、<文学>教育への過剰な幻想を葬り去る-即ち、「<文学>を学ぶこと」の不要性を認識する-必要がある。

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© 2006 日本文学協会
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