日本文学
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大西巨人・連環体長篇小説考 : 『地獄変相奏鳴曲』・『神聖喜劇』における回帰の弁証法(<特集>《成長》の中の戦後日本文学再検討)
山口 直孝
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2010 年 59 巻 11 号 p. 2-13

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抄録
大西巨人『地獄変相奏鳴曲』・『神聖喜劇』は、太郎・瑞枝という一組の夫婦の生涯を描いた物語として読むことができる。「理由のない自殺」によって生を閉じる彼らの活動が一九五一年までで終わっていることは、高度経済成長以降の日本社会を積極的に評価しない、批評意識の現れである。二つの作品は、戦時下の心ある人間の言葉を記憶し、受け継ぐことで共通する。自らが作り上げた達成を過去に立ち戻って見直し、さらに高い次元を求める大西文芸の展開は、「回帰の弁証法」と名づけることができよう。
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© 2010 日本文学協会
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