日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
教育される大人たち : 「己が罪」における二人の子ども
鬼頭 七美
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 59 巻 6 号 p. 12-22

詳細
抄録
菊池幽芳の「己が罪」は、今日、一般的には環と桜戸隆弘子爵の夫婦関係あるいは愛情のあり方がメインプロットとして読解されているが、「大阪毎日新聞」連載時の読者の声を追う際に明らかになるのは、環の産んだ異父兄弟をめぐる物語への関心の高さである。とりわけ、連載中のみならず舞台化された際にも、多くの人々が涙を流した二人の水死場面は、環たち親の懺悔と改悛を促す<教育>効果を発揮し、物語に一喜一憂する読者もまた、同時に教育、啓蒙されていった。
著者関連情報
© 2010 日本文学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top