日本文学
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『源氏物語』冷泉朝中宮の二面性 : 「斎宮女御」と「王女御」を回路として
本橋 裕美
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2010 年 59 巻 9 号 p. 1-12

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抄録

『源氏物語』の斎宮女御は、絵合巻で冷泉帝に入内、少女巻で立后を果たす。この立后は、歴史上の「斎宮女御」、徽子女王の存在を背景に支えられたものといえる。一方で、その立后場面では「王女御」という存在が提示される。歴史上の前坊・保明親王の遺児「王女御」、即ち煕子女王は、『源氏物語』の斎宮女御と関わりの深い存在である。煕子女王の存在はこれまで重視されて来なかったが、子どものない斎宮女御の立后を煕子女王と重ねて読むことは、斎宮女御、更には冷泉朝にとって重大な意味があるということができる。

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