日本文学
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特集・近世韻文の力
近世韻文としての新体詩
—『新体詩抄』と『新体詩歌』をめぐって—
青山 英正
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2011 年 60 巻 10 号 p. 40-51

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抄録

従来、前近代の韻文と新体詩との関係は、長歌とのそれがもっぱら注目されてきた。しかし、『新体詩抄』の表記形式や文体は、過去との決別を謳った序文の宣言と裏腹に、教訓和讃のような世俗的な近世韻文が主に参照されていた。また、『新体詩歌』の編者竹内隆信は、新体詩を一種の詠史として理解し、歴史を詠んだ近世の謡曲などを同書に採録した。このように初期の新体詩は、長歌以外も含めた多様な近世韻文を基盤として創始された。

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