日本文学
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Print ISSN : 0386-9903
特集・受容と読者の近代
植民地の地方都市で、読書し、文学を語り、郷土を描く
――日本統治下台南の塩分地帯における呉新榮の文学――
大東 和重
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2012 年 61 巻 11 号 p. 35-46

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抄録

本稿は、日本統治下台南の文学者、呉新榮(Goo Sin-ing)が残した日記などの資料を通して、一九三〇年代の植民地の地方都市における、ある作家の文学活動について概観するものである。東京留学から戻った呉新榮は、医業のかたわら、内地や台湾の新聞や雑誌、書籍を熱心に読み、地元の文学青年たちや台湾全島の文学者たちと文学団体を結成し、郷土を描く詩や郷土研究のエッセイを発表した。呉新榮の活動には、一九三〇年代における、台湾人作家による台湾文壇の成立――台湾人作家たちが、熟達した日本語を用いて、台湾人読者に向けて作品を書く状況の成立が刻み込まれている。

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© 2012 日本文学協会
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