本稿では,近年の学習者音声に関する研究成果を紹介し,音声教育実践について述べる。
三つの調査の結果から,1)発音上の問題がコミュニケーションの弊害になっているとの認識を学習者が示していることが明らかになった。一方,2)大人になってから学習を開始した場合でも,学習次第でネイティブレベルの発音習得が可能であることがわかった。また,3)学習成功者は発音学習に対する意識・学習方法・インプットの量などの理由に支えられて高い発音習得度を達成したことが示唆された。
これらの研究成果を踏まえ,教室内外において発音練習ができる学習環境を整備し,学習機会を提供することにより,自律学習を促していくことを提案した。具体例としては,1)シャドーイング練習用DVD教材,2)オンデマンド日本語発音講座,3)日本語発音練習用ソフトウェアの開発について述べた。