日本語教育
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寄稿論文
教師の成長と授業分析
文野 峯子
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2010 年 144 巻 p. 15-25

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抄録

 本稿では,教師自らが「あるべき姿」(横溝2009)に向けて変化し続けることを「教師の成長」と捉え,その実践に授業分析がどう貢献できるかを考察した。まず,日本語教室を対象とした授業分析の先行研究を概観した。次に,教師の成長には「自己主導性」(藤岡1998)が必要であり,自己主導性の獲得には教師自身が自分の授業を批判的に内省する授業分析が最適な方法であることを確認した。その上で,授業分析を教師の成長に役立てるために考慮すべき事柄を考えた。その結果,以下のような結論が導き出された。(1)システムや枠組みを利用することによって,より焦点化された体系的な観察が可能になる。(2)授業分析では,得られたデータを検討するプロセスが重要である。(3)データの検討過程では,さまざまな視点から解釈を試みる作業が有効である。(4)(3)の作業は,授業についてより深い理解をもたらすだけでなく,教師を思い込みから解放し,教師に自由と自信を与える可能性が高い。その結果,自己研修型の教師としての学びが期待できる。(5)授業分析や考察の作業は仲間との対話を通じて行うことでより効果的になる。

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© 2010 公益社団法人 日本語教育学会
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