日本語教育
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寄稿論文
項目バンクによって広がるテスト開発の可能性
伊東 祐郎
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2011 年 148 巻 p. 57-71

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抄録

 最近の大規模テストでは,問題をコンピュータ上で提示し,受検者の反応によって瞬時に適切なものを出題する適応型テストが開発されるようになってきた。適応型テストの実用化には,事前に問題群が統計的数値に基づいて分類され整理されたテスト問題のデータベース,即ち,項目バンク(item bank)が不可欠である。項目バンクは,①蓄積機能:作成した項目を,コンピュータ内に蓄積し保存する機能,②抽出機能:出題の目的や評価しようとする領域に基づいて,必要な項目を検索し抽出する機能,③組み替え機能:項目困難度,項目弁別力などの条件によって抽出した項目群を,必要に応じて問題文を新たに組み合わせたり,選択肢の組み替えを行ったりする機能,④作成機能:蓄積・保管されている項目を,測定目的に応じて編集・加工・削除する機能等を有している。本稿では,項目バンク作成の背景となるテスト理論の諸概念について解説するとともに,実際の項目バンク開発の一例を紹介し,今後のテスト作成の在り方を探る。

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© 2011 公益社団法人 日本語教育学会
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