日本語教育
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実践報告
教室での対話がもたらす「本当に言いたいこと」を表現することば
―発話の単声機能と対話機能に着目した相互行為分析―
広瀬 和佳子
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2012 年 152 巻 p. 30-45

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抄録

 本研究は,書くことを協働で学ぶ学習者の相互行為を,発話の単声機能と対話機能の観点から考察した。学習者の言いたいことは固定的なものではなく,他者との対話によって変容し,明確化していった。このような発話の対話機能よりも,情報の正確な伝達を重視する単声機能が優位になると,権威者である教師や専門家のことばで語ることが目標となり,学習者は自分の言いたいことが実感できない。日本語だから表現できないというもどかしさを抱えることになる。学習者が「本当に言いたいこと」を表現するためには,対話を通して内省を深め,他者のことばとの葛藤によって新しい意味を創出していく過程,すなわち対立する価値観をぶつけあい,他者との関係をつくっていく過程を経る必要がある。

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© 2012 公益社団法人 日本語教育学会
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