2013 年 156 巻 p. 60-75
本調査報告は,学術誌『日語学習与研究』(1979~2012)を対象に,現代中国における日本語教育論議について,過去から現在にかけてどのような人々が何についてどのような指摘をしてきたかを整理するものである。結果(1)日本語教育論議は1990年代初頭から活発化し,(2)執筆者は北京や吉林,沿岸部諸都市の大学に所属する教師が半数を占め,(3)研究対象は大学の日本語教育が6割以上であり,(4)研究分野は「言語習得・教授法」と「言葉の運用」が約半数を占めること,(5)これまでに,文学重視・文化理解・コミュニケーション能力育成・国家建設・中国独自の日本語教育スタイル・学習者中心・研究型人材育成・社会ニーズへの対応・教養力・学習者主体・複合型人材・ビジネス日本語等に関する指摘がなされたこと,の5点が明らかとなった。