日本語教育
Online ISSN : 2424-2039
Print ISSN : 0389-4037
ISSN-L : 0389-4037
研究論文
コミュニケーションのための終助詞「もの」の用法
――母語話者と非母語話者の使用実態から――
松下 光宏
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 159 巻 p. 30-45

詳細
抄録

 本稿では,終助詞「もの」について,多くの先行研究や日本語教育での導入における意味・用法の記述(主に正当化や言い訳に用い,主に若い女性や子供が用いる)の妥当性を母語話者の使用実態を基に検証し,その本質的意味を考える。また,非母語話者の使用実態を調査し,コミュニケーション上の問題点を考察する。結果は次の4点である。1.「正当化・言い訳」用法は使用が少なく,理解・同意を提示/要求する用法や例などを示し理解を促す用法の使用が多い。2.性別・年齢差による使用の偏り(主に若い女性が使用)は各用法においてない。3.意味は「先行発話/事態の正当性を示す根拠を強い気持ちで提示する」ことを表す。4.非母語話者は上級者であっても使用が少なく,理解・同意を提示する用法の不使用がコミュニケーション上の問題点となりうる。以上の結果から,日本語教育では頻度・有用性ともに高い,理解・同意を提示する用法での導入を提案する。

著者関連情報
© 2014 公益社団法人 日本語教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top