2016 年 164 巻 p. 110-125
台湾人日本語既習者が発音能力維持のために利用できるe-learning自学教材の作成を試み,教材使用前後の発音能力の日本語母語話者による評価結果に基づいてその有効性を考察した。e-learningシステムとして「Moodle」を利用し,「聞き分けトレーニング」と「リピート・トレーニング」の2種類の練習教材を準備した。Aコースはまず「聞き分けトレーニング」,次に「リピート・トレーニング」を受ける。BコースはAコースと逆の順である。参加者の発話を日本語母語話者が聴覚評定した結果から,1.Aコース,Bコースとも参加者全体の発音能力が有意に伸びたこと,2.実質50分のトレーニングで有意な練習効果が見られたことがわかった。また,「聞き分けトレーニング」は即時にフィードバックが得られるため,学習のモチベーションを高める効果があったと考えられる。