日本語教育
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研究論文
中国語を母語とする上級日本語学習者の「名詞+動詞」コロケーションの使用
――日本語母語話者との使用上の違い及び母語の影響――
劉 瑞利
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2018 年 169 巻 p. 31-45

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抄録

 本研究は,「YNU書き言葉コーパス」を用い,中国語を母語とする上級日本語学習者 (以下,上級CJL) の「名詞+動詞」コロケーションの使用について,日本語母語話者 (以下,JNS) との使用上の違い及び母語の影響を調査したものである。母語の影響に関しては,韓国語を母語とする日本語学習者 (以下,KJL) のデータで検証した。その結果,上級CJLはJNSと比べ:①コロケーションの延べ数は有意に多かったが,異なり数は同程度だった;②高頻度コロケーションを多く使用しているが,共起強度の高いコロケーションの使用が少なかった;③使用頻度上位30位のコロケーションにJNSと共通するものが多かったが,使用制限の少ない共起語を選ぶケースも見られた。また,誤用の25% (30例) は母語の影響だと母語話者に判断され,そのうち3例がKJLにも見られた。母語の影響は母語話者の直感による判断のみでは不十分であることを示した。

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© 2018 公益社団法人 日本語教育学会
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