2022 年 183 巻 p. 18-33
本研究は上海で実施された「実践を省察するラウンドテーブル型教師研修」を取り上げ,継続的に参加した大学教員の気づきと学びを明らかにし,その上で本研修の可能性について検討する。本研修に継続して参加した7名を対象に半構造化インタビューを行い,M-GTAで分析した。その結果,参加した教師らは実践をふり返ることから得た気づきや学びから回を重ねるごとに本研修の特長や意義を見い出した。さらに,それらを研修後に自身の勉強会に還元する等の意欲を示し,具体的な行動に移していたことがわかった。このような参加者らの行動の変化は,参加者が研修の参加ごとに「語り手」と「聴き手」を経験し,そこから双方の役割を理解し,学びを深めたことによると示唆される。本研修は省察的実践者の育成を促すとともに教師をエンパワメントし,これまでの研修に対する認識に影響を与え,参加者が主体的に学び合うコミュニティの構築に貢献した。