本研究では,立場の異なる日本語教師間での協働を重視して,授業観察を用いた教師研修を設計・実施し,研修の評価を行う。本実践では,授業研究の知見をもとに,協働に必要だと考えられる要件を3点抽出した。そして,設計した研修を日本語学校の日本語教師6名の協力を得て実施した。3つの要件がどのように機能していたかを明らかにするため,事後インタビュー調査の回答,授業デザインシートの記載内容,検討会時の発話を分析した。その結果,研修では,1)ファシリテーターによる研修時間内外での雰囲気づくりと定期的な連絡調整が協働を支える要素として捉えられていること,2)事前検討会では,授業意図・課題意識の言語化を通した授業視点の拡大が各教師に生じること,3)事後検討会では,観察者が,授業者の視点に寄り添ったフィードバックをする場面と,一方向的なフィードバックをする場面の両方が見られること,が確認された。