日本語の研究
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九州地方における「天国」の受容史 : 宗教差,地域差,場面差
小川 俊輔
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2012 年 8 巻 2 号 p. 1-14

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抄録

九州地方における「天国」の受容の程度を明らかにするため,九州地方全域300地点において現地調査を行った。調査によって得られた資料から言語地図を描き,考察を行ったところ,「天国」の受容には,宗教差,地域差,場面差のあることが分かった。宗教差については,カトリックと神道の信徒が「天国」を受容しているのに対し,浄土真宗の信徒は「天国」を受容しない傾向がある。彼らは仏教語である「浄土」を持つゆえに,「天国」を受容しない傾向をみせたと推測される。地域差については,宮崎・鹿児島では「天国」の受容が進んでいるのに対し,長崎では遅れている。場面差については,大人が子どもに話しかける場面では「天国」が使用されやすいのに対し,仏教色の強い場面では「天国」が使用されにくい。

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