日本近代文学
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論文
人生観の群生
――北村透谷以後――
木村 洋
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2019 年 100 巻 p. 15-30

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抄録

北村透谷の文業から、高山樗牛のニーチェ熱を経て、自然主義運動に至る展開は、「人生」「人生観」という個人的な問題への関心において一貫していた。さらにこの潮流に連なる形で、文学者の人生観を探る人物論型の文学研究も勃興する。従来透谷や自然主義者などの文学者たちの試みは、社会からの「逃避」として否定的に理解される傾向にある。しかし「人生」「人生観」をめぐる一連の展開を追跡していくと、当時の文学が統治権力にも新たな対応を迫る形で、社会的な諸勢力のあいだに対話や交渉を生み出すための装置として稼動していたことが見えてくる。

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