日本近代文学
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論文
再編成される〈探偵小説〉
――一九二三年以前の『新青年』における「高級探偵小説」イメージをめぐって――
松田 祥平
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2019 年 101 巻 p. 128-141

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抄録

本稿では、江戸川乱歩が登場する以前の雑誌『新青年』の探偵小説言説を分析し、ジャンルが動的に形成されていく過程を明らかにした。まずは創刊当初の『新青年』という雑誌空間における探偵小説を定位した上で、同誌が盛んに主張した「高級探偵小説」の内実を明らかにした。さらに、その一方では、探偵小説を愛好する新たな層に許容されることで自身が「低級」だと規定したはずの種類の探偵小説が次第に掲載数を増やしていくという事態が存在していたことを指摘した。そして、そのように「低級」探偵小説を経由することで探偵小説に芸術性を見いだす価値観が形成され、「高級探偵小説」は後のジャンル状況に繋がる形で再編成されていったと結論付けた。

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