日本考古学
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庭鳥塚古墳の調査成果
河内 一浩
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2006 年 13 巻 21 号 p. 103-114

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抄録
庭鳥塚古墳は大阪府の南部,南河内地域を縦断する石川の左岸に立地する。羽曳野丘陵の東にある中位段丘の東縁に築かれ,古市古墳群の南約1.8kmに位置する単独墳である。閑静な住宅街に隣接する雑木林に保存されて,その存在は一部の研究者が知るのみであったが,平成17年6月の整地工事によって粘土槨が露出する状況となった。
羽曳野市教育委員会では,緊急調査を実施するとともに実態が不明な古墳に対して保存と活用を目的とした範囲確認調査を実施したのである。その結果,遺存する粘土槨はまったく盗掘を受けておらず,副葬品など埋葬当初の状況であることが判明した。さらに,墳形や規模,外部施設などについても成果を得ることができた。
墳丘は全長約50mの前方後方墳で,3.7mの高さをもつ後方部や前方部は盛土によって構成されている。埋葬施設は組合式木棺を安置した粘土槨が後方部の中央で1基確認された。
副葬品から古墳時代前期中葉から後葉に築造されたと考えられる庭鳥塚古墳は,河内の大王の墓域である古市古墳群よりも先行する古墳である。副葬品に舶載の三角縁神獣鏡を保有し,かつ2本の筒形銅器をもつ。銅鏃54本,鉄鏃126本さらに籠手の出土は被葬者の性格を物語る。
来年度から実施される墳丘の調査により前方後方墳の実態がより一層明らかにされ,古墳研究や南河内地域史などに大きく寄与することができるであろう。
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