日本考古学
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墨書土器村落祭祀論序説
高島 英之
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2000 年 7 巻 9 号 p. 53-70

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抄録

集落遺跡出土の墨書・刻書土器は,村落の内部における祭祀・儀礼等の行為に伴って使用されたものである。土器に墨書する行為は,日常什器とは異なるという非日常の標識を施すことであり,祭祀用に用いる土器を日常什器と区別し,疫神・祟り神・悪霊・鬼等を含んだ意味においての「神仏」に属する器であることを明記したものであると言える。
墨書土器は,集落全体,もしくは集落内の1単位集団内,或いはより狭く単位集団内におけるところの1住居単位内といった非常に限定された空間・人的関係の中における祭祀や儀礼行為に伴って使用されたものであり,記された文字の有する意味は,おそらくそれぞれの限定された空間や集団内において共通する祭儀方式の中でのみ通用するものであり,個々が多様な時間的・空間的広がりの中で機能したと考えられる。
文字を呪術的なものとして受容したところに,古代の在地社会の特質があるわけであり,祭具として東国を中心とする在地社会に浸透していったと見られるのである。

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