現代の日本において、子どもが就学前期(保育所、幼稚園)と就学後期(小中学校)の時期において親は最も子どもの教育環境とその変化に気を使うと考えられるが、十分に議論されていない。そこで、就学前と就学後の居住地環境と教育環境の適合性の認識の違いの顕在化を目的とした。解析手法は対象者限定法(restriction)を適用し、両群計634人、いずれも子ども1人の家庭を全国の母親を対象にWeb調査を行った。
カテゴリカル因子分析(cFA)及びSPSS_28による共分散構造分析(SEM)、多母集団同時分析(MGSEM)を用いて、居住地選択に関するSEMモデルを作成した。cFAにより、利便性と教育支援環境、習い事環境、娯楽環境と知人親族近接性の3つの特性が抽出された。これらを潜在変数としたモデルで採用可能適合度を示した。更に就学前後の違いを比較するためMGSEMを行った。結果、両集団への影響度は利便性と教育支援環境及び習い事環境が公共交通利便性の重要度認識へ与える影響が異なることが示された。都市的な魅力や利便性および教育、保育現場の熱心さのパスは義務教育段階において標準化係数が有意に上昇しており、これは子どもの成長に従って親が子どもの活動に関与する機会と目的が変化し、重点が変化するためだと考えられる。