日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
一般論文
2-ビフェニリルベンゾアートおよび2-ビフェニリルアセタートのFries転位
磯田 陽一郎村上 智秀大久保 業之山本 二郎
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2000 巻 (2000) 11 号 p. 787-795

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抄録

2-ビフェニリルベンゾアート(1)を無水塩化アルミニウム(AlCl3)とともにo-ジクロロベンゼン中で加熱還流すると,少量の2-ビフェニロールを伴って,2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル(フェニル)ケトン(3),2-ヒドロキシ-5-ビフェニリル(フェニル)ケトン(4)および2′-ヒドロキシ-4-ビフェニリル(フェニル)ケトン(5)が得られた。2-ビフェニリルアセタート(2)のFries転位からも少量の2-ビフェニロールとともに,2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル(メチル)ケトン(6),2-ヒドロキシ-5-ビフェニリル(メチル)ケトン(7)および2′-ヒドロキシ-4-ビフェニリル(メチル)ケトン(8)が生成し,1および2のいずれからも3種の転位生成物が得られた。反応時間が経過すると,4に1への逆Fries転位,3への異性化および脱ベンゾイル化が起こったため,4の収率が低くなった。1は120°C近辺で反応が起こっているが,2では反応開始温度が低くなり,約60°Cで反応が進行した。基質(1,2)に対してAlCl3の添加量を多くすると,オルト-転位生成物(3,6)の収率はいずれも低くなった。
一方,1から生成したパラ-転位生成物(4)の収率は低くなり,2から由来したパラ-転位生成物(7)の収率は,AlCl3の添加量とともに向上した。1および2のいずれのFries転位も分子内と分子間とが並行して起こっているが,2より1が高い分子間性で進行していると考えられる。

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© 2000 The Chemical Society of Japan
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