工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
2-シアノ-1,3-ブタジエンの付加反応
田中 誠指尾 稔
著者情報
ジャーナル フリー

61 巻 (1958) 6 号 p. 714-716

詳細
PDFをダウンロード (897K) 発行機関連絡先
抄録

2-シァノ-1,3-ブタジエンの付加反応には1分子付加,2分子付加が可能であり,1分子付加にはさらに1,2付加と1,4付加が考えられるので,メルカプタン,アルコール,アミン,ハロゲン化水素の4種について付加反応を行い,反応生成物から付加反応機構について若干の考察をこころみた。p-トリルメルカプタン,メタノール等はアルコラートを触媒とし,塩化水素,アミン等は無触媒で容易に付加する。生成物の分留はかなり困難であるが,分留をくり返すと二つの留分に分かれ,元素分析値,分子量,分子屈折値等からそれぞれ1分子付加物,2分子付加物と推定される。1分子付加物を過マンガン酸カリで酸化すれば,いずれからも酢酸の生成が認められるので1,4付加物の生成は明らかであるが,分留が困難な上,沸点範囲がかなり広いこと,および酸化反応が定量的に進行しない点等から1,2付加物の生成も否定できない。共役二重結合に対する付加反応についてのIngoldの機構からすれば1,4付加が予想されるが,反応条件によっては必ずしもこの機構は適用できるとは限らないようである。しかしながら本研究の条件下では1,4付加の優越性が認められているので1,4付加物が主反応生成物と考えられる。したがって2分子付加物は1,3-ジ置換-2-シアノブタンであろう。

著者関連情報
© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事

閲覧履歴
前身誌

東京化學會誌

feedback
Top