62 巻 (1959) 12 号 p. 1865-1868
ピネンの高温高圧下の水素還元における三硫化モリブデンの接触作用を検討した。反応温度200℃では未反応物が多いが,生成した飽和炭化水素の諸性質はほとんどピナンに一致した。反応温度300℃以上ではp-メンタンと少量のビナンの混合物を認めた。またビナンおよびp-メンタンと同時にp-シメンを反応生成物として認めたが,この生成過程はp-メンタンの脱水素によるものではなくピネンの接触異性化の副反応として生じたものであることを確認した。またp-メンタンはp-シメンを経てこれが更に還元して生成したものではなく,ピネンの接触異性化の結果生じたジぺンテンおよびテルピノーレンが還元されて生成したことを認めた。