抄録
食塩水中に含まれる痕跡量のクロム,バナジウムおよびニッケルを,鉄を共沈剤とする化学的処理法で分離し,pH7の塩酸塩の状態の水溶液を試料として,炭素補助電極を用い,それらの元素を,断続弧光法によって分光分析的に定量した。本報文においては,この分析法に影響を与える諸因子と濃縮処理の条件,発光条件などの基礎条件について検討した結果を述べる。
本方法を用いると,クロムおよびバナジウムは,1r/100cc程度まで,またニッケルは,2.5r/100cc程度までを,いずれも±10%以内の精度で,他の方法にくらべて,迅速に同時定量することが出来る。