抄録
トランス油留分にあたる八橋系潤滑油原料を硫酸,フルフラール,フェノールおよびシリカゲルでそれぞれ処理し,得られる精製油は原試料油よりも尿素アダクツ生成能が向上するが,放置によってアダクツ生成の妨害が次第にあらわれることを観察した。精製油の芳香族含有量,残存芳香族の種類,およびレジン成分の残留率などがこの妨害作用に関係を持つことを推察し,肉眼による着色の判定または620mμ(赤色光)の透過率が,この効果を比較する目やすになることを見出した。アダクツ生成の前処理としてカセイソーダ水溶液で酸性物質を抽出除去すれば妨害効果が著しく減退し,一般にこのような酸性物質によるアダクツ生成能の低下が認められる。