62 巻 (1959) 9 号 p. 1439-1443
(1)延伸した再生セルロース膜の赤外線吸収スペクトルは分光器(光研301型,Perkin Elmer21型分光器)により赤外線の一部が偏光しているために真のスペクトルを示さない。したがってスペクトル図の解読上重大な誤りの原因となる。この現象を延伸膜を用いて分光器についてためし,さらに延伸膜粉末試料のKCl錠剤法およびX線回折による研究で明確にした。なお異方性物質測定上の注意を述べた。(2)無延伸,延伸再生セルロース膜を重水素化して偏光スペクトルを測定した。この結果,無延伸膜は2色性を示さなかったが,延伸膜ではOH基伸縮振動のうち波数の高い方の2本のピークはおおむね/ / 偏光でより強い吸収を示し, 残りのピークは⊥ 偏光でより強い吸収を示した。またX 線による研究を試みた。これらの結果とMarrinan, Mannらの結果を比較しOH基の配列状態を推定した。(3)重水素化によって1200, 1235, 1265cm-1付近および1155, 1110, 998cm-1各吸収ピークは不明瞭になった。この原因を推定した。