1960 年 63 巻 12 号 p. 2208-2210
染料の染着にもとづく表面電荷密度および全染着量の増加は, pHの変化によってほとんど認められず, このことより本報の染着様式としては水素結合あるいはファンデルワールス結合が支配的であると思われた。
繊維表面の電荷密度および染着量は,染料濃度の増加とともに増加し,また温度上昇によって漸次減少することが認められた。
塩類濃度の増加によって表面電荷密度は漸次上昇したが,染料の加わった系のぞれと,加わらぬ系のそれとはほとんど変化なく,塩類による表面電荷密度の増加は塩類陰イオンの吸着にもとづくと考えられた。このことは全染着量が塩類濃度の増加によってほとんど変化しないことによっても支持された。したがって, テトロン繊維- 染料系で本報のような条件下では,塩類およびその濃度は全染着量にほとんど影響をおよぼさないと考えられる。
また表面電荷密度および染着量ともに石炭酸濃度の増加とともに増加し,石炭酸のキャリヤーとしての効果が認められた。
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