工業化学雑誌
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n-アミルリチウムによるスチレンの陰イオン重合機構
田中 武英東 広巳
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63 巻 (1960) 5 号 p. 888-891

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抄録

前報告の一部に
-アミルアルカリ金属化合物によるスチレンの重合について定性的な全重合速度,living polymerについて報告したが,その重合機構の解明に必要な重合速度,重合度およびliving polymerについて定量的な結果が得られたので報告する。
すなわち,全重合速度式はエチルエーテル中で,
-アミルリチウム濃度[A-Li]0.016,ないし0.090mol/lの範囲で,-5または+10℃という温度条件ではRp=0.014[M]2または0.077[M]2{ただし[M]はモノマー濃度}が成立し,平均重合度は[M]/[A-Li]と等しくはないが比例する。0℃においても同様であるが,[M]/[A-Li]が小さくなるほどこの値に近づくことがわかった。このことがlivingpolymerの持つ特性であることに注目し,その定性的反応をも検討した。しかし[M]/[A-Li]が大きくなると粘度平均分子量と[M]/[A-Li]から計算した分子量の比が1.0より小となり,その存在はかなり困難となる。その理由としては重合混合液中の不純物が停止速度に大きな結果をおよぼすのであろうと推察した。既報のテトラヒドロフラン-ナフタリンNa系のような明確な理論どおりの定量的結果は得られなかった。なお,全重合速度の見かけの活性化エネルギーは約8kcal/molとなった。

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