工業化学雑誌
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d-リモネンの自動酸化
斎藤 真澄遠藤 彰三木 彦一奥田 永昭伏崎 弥三郎
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1961 年 64 巻 3 号 p. 547-551

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抄録

テルペン炭化水素の自動酸化についての研究の一環としてd-リモネンの自動酸化を行なった。d-リモネンは40~70℃という比較的低い温度で,開始剤を用いなくとも,空気により酸化されてヒドロペルオキシド(HPO)を生成した。開始剤としてBPOを使用すれば,反応初期におけるHPOの生成の速度は増大した。いずれの場合にもHPOの濃度はある一定値以上には増加しない。また触媒として重金属塩を用いるとHPOの生成速度はやはり増大するが,このHPOの最高濃度は著しく低くなる。これらのことからHPOは酸化反応中にも熱分解し,重金属塩はHPOの生成とともにその分解をも促進することがわかった。
生成物としてはケトン,アルコールおよびアルデヒドの存在が認められた。ケトンおよびアルコールは還元するとメントールになるので,これらはそれぞれ3位にカルボニル基あるいはヒドロキシル基をもつことがわかり,ヒドロペルオキシドの構造もそれに相当するものであることが決定された。このほかカルボンの存在も認められたので6位でも反応がおこっていることを示す。
次に反応機構をより明らかにするため反応速度を測定した。初速度と酸素圧,リモネン濃度,BPO濃度との関係を求めた結果次の速度式が得られた。γTiは熱による開始反応の速度で,BPOを用いた時にもこれを無視することはできなか
γ=(γTi+kB[BPO])1/2[O2][RH]/(C[RH]+D[O2])
った。この速度式の定数を実験から求め,それから計算した活性化エネルギーは21kcal/molとなった以上の結果からd-リモネンの自動酸化では主としてまず3位で酸化がおこってHPOを生成し,それが分解してアルコール,ケトンになることがわかった。その反応性はすでに行なつたα-ピネンのそれよりもやや大きく,テルピノレンよりは小さい。したがって同じモノオレフィンでは単環構造のほうが双環構造より反応し易いといえる。

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