工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
低スルホン化度リグニンスルホン酸の熱に対する挙動
京極 与寿郎八浜 義和
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 64 巻 3 号 p. 567-570

詳細
抄録

低スルホン化度リグニンスルホン酸(低S・LSA)を固体で加熱したときの脱スルホンと不溶化測定し,不溶化が低S・LSA中に残存するスルホン化活性基(B'基)によるものかどうかを検討した。比較のためB'基にもスルホン基を導入した高スルホン化度リグニンスルホン酸(高S・LSA)についても同様に測定を行なった。
両者とも中性塩の場合は,熱に対して安定である。遊離酸の場合,脱スルホンには両者とも大差ないが,不溶化率は低S・LSAの方が高い。しかし低S・LSAの不溶化は最初脱スルホンによるスルホン化度の低下によっておこり,縮合による不溶化については高S・LSAの場合と変わりなく,脱スルホン率20%程度以上ではじめて不溶化がおこる。このように低S・LSAがB'基の存在にもかかわらず,縮舎に対して特別の活性を示さないのは,低S・LSA中のB'基が縮合にあずからないことを示す。このことは,B'基をエトキシル化した場合の挙動が,もとのものとほとんど変わらぬことからも確認された。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top